最近、景気が上向き基調であらゆる企業で業績の底上げ感が感じられます。しかし、企業の競争力を短期的な業績だけで判断するのは非常に危険なことです。短期的な数値だけではなく大局観から、経営の本質を考えることが大切な時それが現在です。一方で、ものづくりの経営は複雑で難しくなって来ているといわれます。これは、ITの分野においても同様で、大量生産的な難易度の低い開発は、ほとんどが中国やインドに流れています。面倒な仕事や、厳しいスケジュール、仕様が未確定で試行錯誤しながら開発するものなど、とかく個別な対応が必要なものだけが、国内で開発されていくと考えて貰う方が正確というものです。
技術を構築するには長い積み重ねが必要ですが、市場の動きはそれを待ってはくれません。長い時間が必要な技術開発とスピードが優先されるマーケットの変化をどのように融合してプロジェクトをマネージメントしていくのか。先日の日経のセミナーでは、ガードナーのピーター・ソンダーガード氏が現在のシステム投資の8割は間接費である、PCは5年のうちにその地位を負われ他の様々な機器から基幹情報へのアクセスが可能になり、10年までには世界中で10%のSEとPGが職を無くすと指摘していました。この職を無くす10%のエンジニア達は、中国かもしれないしベトナムかも、インドかもしれませんがご存知のように我々の1/5で中国で開発が可能で、インドは1/10とも言われています。果たして、エンジニアが職を無くすといわれているのはどの国に一番あてはまることになるのでしょうか。
成果主義といわれて久しいですがチームでものを創る会社や研究開発の分野の多くでは、一人一人の業績評価についても難しさが増しています。こういった複雑な問題は、視点も期間も目的も達成度も異なる環境の中で発生し、簡単に解決できるものではありません。このように企業を取り巻く外部の環境の変化は激しさを増し、それに伴って企業組織、そして組織を構成するひとりひとりに求められるスキルも多様化してきています。ゼネラリストからスペシャリストへそれが2000年のキーワードでした。
こういう複雑な多様性を持った現在だからこそ、使命(ミッション)を受けて課題を解決し企業価値を高めるプロジェクトマネージャの役割は大きなものとなっています。プロジェクトの概念は、IT業界だけのものではありませんが、IT業界においても、課題解決の為のマネージメントと捉えてみれば重要なスキルであることに気がつくはずです。
今、私達を取り巻くビジネスの世界=複雑な多様化した社会では、原則に従って実行して勝利する方程式というものはなかなか見つけられません。課題を分析し、プロジェクトを計画し、しくみを考え、自分で目的を達成するシナリオを描いてビジネスプロセスを創造できる人間が求められています。そして、その計画に則って、あるいは計画を修正しながらプロジェクトを実践し、目標を達成していく人間(使命達成型職業人)=プロフェッショナルが求められています。
視点を高くして視野を広めて、様々に進化する時代に適合して行くことが必要です。
今週、勉強会の打ち合わせがあってある女性経営者のお話を聞く機会がありました。そのなかで言葉は少し違ったのですが、今までの自分のことに比べて考えるととても納得の行くお話を伺うことができました。「視座、視野が広がる=物の見方・考え方が広がる」というお話でしたが、年代別にテーマがあってそのテーマに対していかに真剣に幅広く深く仕事を通して取り組むかがポイントであるということでした。そのテーマとは20代は経験、30代は技術、40代は責任、50代は信頼、60代は智恵・・・・
それが直角三角形の積み木の階段のように表現されていました。そして、この経験や技術の幅を広くすることでより高いところまで昇れるということそれが、視座、視野が広がるということなのだと。この会社さんは婦人服の販売で30人の社員が10億円売上、経常利益も素晴らしい会社です。その入社時の教育で最初にこの話をするとのことでした。・・・お話を直接聞かせてあげたかったなぁ。↓以下に東京同友会の例会のページを載せます。
http://www.tokyo.doyu.jp/tokyo-doyu/common/meeting.php?meeting_id=2725
「今を生きること、その一日一日の微差の積み重ねが人生では大きな差になる」
「夢を持てる人は能力がある」
「経営者が成長しなければ会社は成長しない」
「仕事に精通していくことが物を創る人に感謝すること」
・・・・etc、沢山の人生のエッセンスがつまったお話を聞くことができました。
みなさんに感動を伝えられなかったとしたら、私もまだまだですね。視点を高くして視野を広めるということは少しぐらい勉強したぐらいでは身につかないことです。毎日心がけて行くことで、すこしづづ自分の視野を広めることができるのでは無いかと思います。目標を心に描いて、ひとつひとつのことに真剣に取り組み、いつも工夫する気持ちを忘れないでください。それが、視野を広くし視点を高くする訓練になる・・・そのように私は感じています。