あけましておめでとうございます。
もう今日は7日ですから、新年のご挨拶もどうかと思ったのですがやっぱりブログを書くことにしました。今年は、私の人生で最も劇的なお正月であったと思います。システムのトラブルは数々経験してきましたが、こういう急激なパターンは、正直初めての出来事でした。まるで、リーマンショック以降にずるずると打つ手もなく不況に落ち込んでいった世界経済のような、幾度となく売り上げ予測を下方修正しているトヨタみたいな感じで・・・本当に、どんどん悪くなって風邪だと思ってたら肺炎で瀕死の重傷のような状況でした。マクロ経済やトヨタさんならいざ知らず我々のような零細企業は、ずるずると仕事を納められないなんてことがあるとその打撃は計り知れないものがあります。それよりも、なにより、お客様のビジネスプランに大きな影響が出てしまうことはどうしても避けたいことでありました。どのようなことがあっても、その問題をお客様と一緒に解決し、きちんと納期を守り、システムをリリースし、安定稼働させることがITのサービスを提供することを生業としているものにとっては絶対条件であるということをまた強く心に思いました。なんとか、お納めする事が出来てよかった。最後まで、いろいろとつきあってくださったお客様への感謝と急な出動にも関わらず、最後まで対応を続けてくれたプロジェクトメンバ、様々な方々ありがとうございました。
1日の午後からデータセンタに入り、最終のリリース判定会議でスタートの判断が出たのは3日の深夜12:30頃でした。それから、24時間体制での障害対応(臨戦態勢)がはじまり、なんとか今日まで、いろいろな問題をお客様の協力もあって解決することが出来、システムの運用には大きな問題を出さずになんとか運用して頂いて来ました。(・・・ヒエラルキーの無い会社って怖いですよね。今日は、なんと私にも夜勤の当番が回ってきたのでした。)
昔、読んだドラッカーの「現代の経営」の中に3人の石工の話というのがありました。スペインのバルセロナにあるガウディ建築物の「サクラダ・ファミリア」を作った石工の話です。
沢山いる石工たちのうち、とても一生懸命働いている3人がいたので「なんでそんなに頑張れるのか?」と尋ねた。一人は「これで食べている」と答え、一人は手を休めずに 「国でいちばん腕のいい石工の仕事をしている」と答え、一人は目を輝かせて「教会を建てている」と答えた。
ドラッカーは、それぞれの石工についてコメントしていますが、特に2番目の石工についてその危険性をページを割いて語っています。石工がその技術に拘ること=職人気質は、仕事の上で大変重要なものであるけれども、同時に自分の仕事に対して思い違いを起こしたり、目標にあった仕事の仕方からはずれてしまうことがあるということです。ドラッカーの言葉を借りれば、「技能において高度の水準にない仕事は、真摯さに欠ける。そのようなものは、人間を堕落させる。その下で働く人達を堕落させる。技能の強調と追求は、マネジメントのあらゆる領域において革新と進歩をもたらす。・・・省略
しかし、機能別の専門化した仕事において、専門的な技能を追求することには危険も伴う。ものの見方や努力を、事業の目標からそらす恐れがある。機能別の仕事が、それ自体目的となる。」
二番目の石工が活躍する為には、必ず全体のニーズと関連づけられていることが必要です。これは、私達の提供するシステムやサービスも同様です。私達の提供するシステムやサービスは、その部分においての最適解が全体の最適解とは必ずしも言えないことがある。だから、我々は自分たちが提供するシステムがどんなものなのかその全容を理解しておく必要があるように思います。全体を理解するということは、とても大切なことで、難しいことでもあります。今年は、私達のサービスがお客様のビジネスを支えるものでありたいと思っています。
今年も、どうかよろしくお願いいたします。